2012-04-25

4/21和訳:キャンドルナイトツアー報告・その2


再び、3月の、福島の悲劇から1年という節目に訪れた日本での日々を思い出しています。私の心に浮かんでくるのは・・・、「小さなものごとにこそ感謝したい」ということ。

私が滞在した2週間ちょっとの日々、笑顔を交わすことで、胸の内をわかちあうことで、一緒に歌うことで、今、この瞬間に「いる」ことで、電車の中でさえ、見知らぬ人と友達になることができました。

北海道の函館では、ナマケモノ倶楽部初期メンバーのピーター・ハウレットさんについに会うことができました。初対面なのに、長年ご無沙汰だった兄弟に出会ったよう!地球を気遣う心を持ち合わせた家族に出迎えられたような気持ちになりました。 

彼は、ユーモアと善了さを兼ね備えた「がんばる」ナマケモノ。行政、市民、ビジネスマンからアーティストまで、幅広い人々とのネットワークを築きながら、環境問題のポジティブな解決に向けて一緒に取り組もうとしています。その一方で、家族の暮らしを支えるために、様々な矛盾とも向き合っています。

50時間ほどの滞在だったのですが、ラジオの取材と夜の講演会の間に、私たちは彼が取り組んでいる市民風車プロジェクトを訪れたり、音楽のセッションをやったり、ビジネスミーティングにも参加しました。

「ラッキー・ピエロ」という、ファーストフードのハンバーガー屋さん(!)を訪れそこで昼食を食べたのですが、なんとここで出す食材は、すべて地元から調達しているのだそう。従業員はといえば、その多くが中年のおばさま方。地域の雇用対策にも貢献しているとのことでした。

その取り組みじたいは、小さな会社の小さな取り組みかもしれません。けれども、そういう企業と、強いコミュニティ意識をもった人々が糸を織りなすようにつながることで、よりよい地域社会に向けての基盤となるのです。

そのひとつの例が、ピーターたちが暮らす七飯町にもちあがった「大トチの木」伐採問題です。そのトチの木は、高速道路拡張計画が発表されるまで、誰にも気づかれることなく立っていました。事前の考古学調査で、偶然、スタッフが、彼の家のすぐそばに立つその木の元に、彼の息子を連れて行ったのです。

ピーターは、小さな木立に立つ大きな木が、実は、北海道で最後の大トチの木であることに気づきました。そして、町民一体となって、拡張工事を変更させ、その木を守り抜くことに成功したのです。

雪のじゅうたんの上に落ちていた大トチの木の皮を東京に持ち帰った私は、お守りのようにそれをポケットに入れて持ち歩き、イベントでピーターの話をしては、木の皮を手でそっと握ります。

いのちを、そして、人々がそのいのちを守るためにどうやってつながったかを忘れないために。

【翻訳:馬場直子】

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