2012-06-09

6/6和訳:「遊び」を取り戻す

21世紀において、私たち大人は、子どもたちの互いに触発され高め合っていくための純真さ、無垢さ、きらめき、知恵、直感といった素晴らしい資質に学ぶべきでしょう。若い世代こそが、輝かしい未来である平和な世界に向けて主導的な役割を担っていくのです。「地球上が平和で満ちあふれますように(May Peace Prevail on Earth」」とは五井平和財団が掲げるスローガンです。

先週末、私は子供たちや若い人々が、平和で生きる目的に満ちた姿を観て、明るい将来のひとしずくを垣間見た気がしました。金曜日の夕方、子供たちと私は仲の良い友人が持っていたドキュメンタリー映画「Play Again」の自主上映会を手伝いました。この映画はアメリカの10代の若者たちが、デヴィッド・スズキ、ビル・マッキンべン、リチャード・ルーブといった影響力のある大人たちとともに、デジタル社会での暮らしから、自然に還っていく体験を追ったものです。

上映会にいた観客のほとんどは、少人数だったとはいえ、現代の子どもたちが1日15時間もデジタル技術の中で過ごしていること!にすでに気付いていました。つまり、この映画を本当に必要とする子どもたちは、今も家の中でテレビやコンピューターゲームをしている・・・そう思うと少し悲しくもありました。

ここにいる私たちは皆、可能な限り外の自然のなかで過ごそう、「ホンモノの時間」を生きよう、という生活スタイルをすでに選択しています。映画を観ながら、「この映画が人々がコンピューター依存症から降りる手助けとなりますように」と願うなんて、皮肉なものですね。

しかし私にとっては、その場にいた子どもたちこそが、夜のホンモノの主役であり、ポジティブな変革を喚起するために私たちが必要としているお手本でした。

開場時、パチャは自発的に受付に立ち、人々を迎えながら、鑑賞料の寄附を受け取っていました。ヤニは皮をむく必要のあるマカデミアナッツをいくつか手に取り、何か手伝うことはないか、主催者にきちんと確認していました。

子供たちは自分のやったことが褒められる機会があれば、どんどん参加してくるものです。ヤニに引き続き、いろんな子どもたちが、マカデミアナッツの皮をむき、観客に分けるためにボウルに分けるといったお手伝いをしてくれました。私たちが人と会ったり、挨拶をしていたり、大人同士で連絡を取り合っている間、その場にいた十人くらいの子どもたちは、誰ひとり、電子機器なしで、一緒に遊んでいました。パチャは年下の女の子たちにダンスの動きをいくつか教えてあげていて、ヤニは男の子たちと外で念入りに木の実を割っていました。

上映会がスタートするころには、隣に座った女の子の髪をおさげに結ってあげるヤニや、友人の一歳の赤ちゃんをあやすパチャなど、子供たちみんなが、信頼関係に基づいた接し方をしていました。それは、とても平和で、ただしいあり方でした。
現代グローバル社会の象徴である強力なデジタル文化がどんなに強力であっても、お互いつながっていたいという深いところにある本能が今も存在するんだということが、このような愛らしい形で証明されました。

私たちが電子的なノイズを出来る限り制限しながら子供たちを優しくサポートできれば、彼らは自分たちの中で、秩序を保つことができます。そして、私たちは皆何とかしてそのことを理解せねばなりません。それが、未来にむけて希望はまだあるという望みにつながるからです。



翌日は、パチャが地域のサーフ大会に参加するため、朝5時に出発し、2時間半かけて南にあるスコットヘッドへ出かけました。そこに行くにはそれなりに出費がかかります。しかし、私たちは何よりもサーフィンを優先したので、子供たちは楽しそうに節約していました。私は少しでも食べ物にかけるお金を節約しようと、レンズ豆と御飯を持って行きました。私たち家族が一番好きなスポーツはサーフィンなのですから!

私にとってサーフィンは、母なる大地の血液である塩辛い海の中で、自然ともっとも深くつながる経験ができるものの一つです。毎回私たちはサーフィンマジックにかかります。イルカ、カメ、クジラにあったり、荒れ狂う流れにあったり、海が刻々と変化する様子を見たり。時々、フィンが壊れたり、頭にこぶができたり、パドリングで腕を痛めたり、といった苦痛を伴います。時々私たちはとても強い波の力を目の当たりにし、その深い海の中の「裏側」では、一体何が私たちの真下にひそんでいるのかという恐れを感じます。

不快だし、砂まみれになるし、寒いこともあるし、予測できないことがたくさん起こるけれど、いつも私たちは”生きている”という感覚を満たしてくれるのです。そして毎回私たちは少しずつうまくなるので、また何度も何度も行きたくなるのです。筋肉は鍛えられ、バランス感覚は改善され、勇気と謙虚さが発達し、冷たい水と暖かい太陽とで刺激され、血液のめぐりがよくなり・・・ そう!サーフィンに完全にやられてしまっています!

サーフィンという競技については少し複雑な思いがあります。というのも正直サーフィンを愛する心というのは、実に内面的で神秘的であるので、競争するということと相反するのではないかと思っているからです。それなのに、地元のボードライダースクラブの中にはいって、見て、学んで、うまくなりたいと願う私たち。(ああ、我々人間の持つ矛盾ですね!)

パチャとヤニが上達するとともに、彼らは周りの子供たちにも影響を与えます。それは、一生懸命努力したり、テレビの前に座る代わりに、両親にビーチに連れて行けとしつこくせがんだりといったことをやってみようとすることです。・・・これは良いことだと思いませんか?

私たちは新しい人々、新しい場所に期待でいっぱいでした。メインテントまで歩いていくと、パチャは12歳以下の女の子の部でたった一人の挑戦者だということがわかりました。それ以外には18歳以下の部に一人しかいなかったのです!男子の部はたくさんあって、18歳以下、16歳以下、14歳以下、12歳以下、と予選が行われていました・・・パチャもそこに行こうとしましたが、自分自身と戦うために離れました。水の中で一緒にサーフィンをしている多くの若い子供たちの特別なエネルギーが集まると、波を最大限に活かすため、少なくとも5時間は水の中で過ごすことをやめません。

ようやく本日一番のハイライトである、女の子部門の予選の時間がやってきました!主催者はパチャと18歳以下の競争相手、ココと一緒にしました。-そして20分の予選にヤニも参加させたのです。

ココは自分のサーフィンの腕前を審判に印象付けることにに気をもむ代わりに、ヤニとパチャが波に乗れるように助けることにほとんどの時間を費やしました。あの日の競技会にいた誰もが献身的なココの振る舞いの影響に感激しました。パチャとヤニにとっても、真の良いサーファーとして、また真の人間としてどうあるべきかを学ぶ、よい機会となったことでしょう。



【翻訳:間宮加奈子】

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